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分子性導体

分子性導体は分子を構成成分とする電気伝導体で、化学的な分子修飾を基にその電子構造や物性を制御できる特徴があります。電子的に閉殻構造を持つ有機化合物は通常絶縁体ですが、これに化学的あるいは電気化学的にキャリアを導入することで、開殻構造を持った電気伝導体を作成することができます。有機導体の最初の例は、ペリレンに臭素をドープすることで見出されました1)。その後、1970年代にテトラチアフルバレン(TTF)を構成成分とする分子性導体が報告され2)、1980年代には有機物で初めての超伝導体がテトラメチルテトラセレナフルバレンの塩(TMTSF)2Xから発見されています3)。TTFやTMTSFは、一次元あるいは擬一次元の分子配列を形成します。一方、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン(BEDT-TTF)は二次元の分子配列を形成しやすく、一次元系に比べると温度に対して安定な金属状態を保持しやすいことが知られています4-6)
TTF類縁体の伝導体塩を作成するには、たいていの場合において電解酸化による結晶化法(電解結晶化法)が用いられます7)。これらのTTF類縁体はすべて正孔をキャリアとするドナー分子として機能しますが、金属ジチオレン錯体(M(dmit)2)や7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、フラーレン(C60)などは電子をキャリアとするアクセプター分子となります。M(dmit)2の塩は、アクセプター性有機超伝導体としては最初の例で8)、中心金属や対カチオンの種類を変えることで、様々な超伝導体が報告されています9)

BEDT-TTF

ナノカーボンおよびナノグラフェン化合物に対するアルカリ金属ドープによる超伝導体の報告例もあります。ルビジウムやセシウムをドープしたフラーレンが、30 K以上で超伝導転移を起こすことは以前から知られていました10)。近年では、38 Kで超伝導体となるCs3C60が報告されています11)。TTF類縁体やM(dmit)2の伝導体が低次元の分子配列を示すのに対し、フラーレンの場合は三次元系であるという特徴があります12)。また、久保園らは、アルカリ金属をドープしたピセンが18 Kにおいて超伝導を発現することを見出しました13)。平面状のナノカーボン材料でも超伝導が起こることを示しています。ピセンの超伝導体の報告に次いで、アルカリ金属をドープしたフェナントレン(Tc = 5 K)14)やコロネン(Tc = 15 K)15)、1,2:8,9-ジベンゾペンタセン(Tc = 33 K)16)でも超伝導が見出されています。

Superconducting materials by alkali metal doping

参考文献

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