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代表的p型半導体材料“ペンタセン”の性能評価

代表的p型半導体材料“ペンタセン”

ペンタセン (Pentacene) は代表的なp型半導体材料であり,有機エレクトロニクスの分野において数多くの研究例が報告されています。 一方で,ペンタセンのHOMOレベルは約-5 eVと浅く酸化されやすく,酸素や光に不安定な材料であることが知られています。

弊社製品のペンタセン昇華精製品 [P2524] を使用してOFET (Organic Field Effect Transistor) デバイスを評価した結果,最大でホール移動度 μ = 1.52 cm2/Vsが得られています(実験詳細は下記をご参照ください)。

弊社では,社内でトランジスタ素子の作製から評価まで行っています。
 

ペンタセンの性能評価

n+-Si/SiO2基板 (SiO2 :200nm) に,n-Octyltrichlorosilane (OTS) [O0168] を用いてSAM処理を行いました。
基板を蒸着機にセットし,真空蒸着法によりペンタセン[P2524] の薄膜 (60 nm) を形成した後,金 (40 nm) を蒸着しソース・ドレイン電極を形成することで,トップコンタクト型OFET素子を作製しました (図1) 。素子評価は,窒素雰囲気下グローブボックス内にて行いました。

Pentaceneを用いたOFET素子構造

OFET素子特性

作製した素子の特性を図2および表1に示します。
窒素雰囲気下にて測定した結果,
ペンタセンは安定なp型半導体特性を示しました。
また,OTS処理した素子ではFET性能の大幅な向上が見られ,ホール移動度 μmax = 1.52cm2/Vs,on/off比 1.5 × 107の良好な値が観測されています。

Pentaceneを用いたOFET素子の特性

AFM画像とXRD解析

原子間力顕微鏡 (AFM) および薄膜X線構造解析 (XRD) を用いて,作製したペンタセン膜を解析しました。
AFM測定では,基板処理の有無に関わらず,どちらも非常に綺麗なテラス構造が観測されました (図3a)。
また,out-of-plane XRD測定では,どちらも (00h) に帰属されるピークが高次まで観測され,層間距離は15.5 Å (2θ = 5.72°)であることが分かりました (図3b)。
これらの結果は,ペンタセン分子は基板に対しedge-on配向した「薄膜相 (thin-film-phase) 」を形成していることを示しています。

ペンタセン薄膜のAFM画像および XRD解析

bare (表面処理無し) のXRD解析では,ペンタセン分子のface-on配向に帰属可能なピーク (黒矢印) が観測されました (図3b)。これが電荷輸送の大きな律速となり,移動度の低下を起こしたと考えられます (図4a)。
一方,OTS処理した素子ではそのようなピークは観測されませんでした (図3b)。
これらの結果から,OTS処理した素子では理想的な薄膜相が形成され,FET性能の大幅な向上に繋がったと考えられます (図4b)。

Pentacene薄膜内の分子配向イメージ

本研究の原子間力顕微鏡 (AFM: SPM-9700) は,文部科学省「ナノテクノロジープラットフォーム」事業の支援を受けて,(国立) 産業技術総合研究所ナノプロセシング施設において実施されました。


本研究の薄膜X線構造解析 (XRD: SmartLab) は,文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォームに参画する東京大学微細構造解析プラットフォームの支援を受けて実施されました。

「材料の純度」は,トランジスタ性能を大きく左右する重要なファクターです。
弊社では,高純度,高品質な材料を提供するべく日々努力しております。 今後も多種多様なトランジスタ材料を製造・社内評価し, 実際の素子特性を取得・解析することで材料の品質をさらに高めてまいります。



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