化学発光化合物および検出

化学発光とは主に酸化反応によって励起された分子が基底状態に戻る際、エネルギーを光として放出する現象です。化学発光を示す有機化合物としては、海ホタルルシフェリン、ホタルルシフェリン、シュウ酸エステル、ルミノール、ルシゲニンなどがあります。

海ホタルルシフェリンはスーパーオキシド(O₂^-)や一重項酸素(¹O₂)と反応し、化学発光を起こします。この特徴を利用して、CLA、MCLAは白血球の機能検査などの研究に応用されています。CLA、MCLAの最大発光波長はそれぞれ、380nm、465nmで発光します。また、寺西はさらに長波長域での発光が可能なRed-CLAを開発しました。Red-CLAはスーパーオキシドと反応して高い発光強度を示し、最大発光波長約610nmで効率的なスーパーオキシドの分析が可能です。

ホタルルシフェリンはルシフェラーゼ、ATP、マグネシウムイオンの存在下でルシフェリルアデニル酸となり、さらに酸素によりオキシルシフェリンとなります。これが分解して基底状態に戻る際に562nmの光を放出します。この性質を利用して、ATPの微量検出やヌクレオチドホスファターゼなどの活性測定に用いられています。

ルミノールは塩基性条件下、鉄などの金属、およびその錯体などを触媒として過酸化水素と反応し、460nmに強い青色の発光を示します。この反応はルミノール検査と呼ばれる科学捜査における血痕の鑑識法として利用されています。また、過酸化水素や触媒となる金属種の微量定量にも利用されています。

一方、シュウ酸エステルは過酸化水素などにより酸化され、1,2-ジオキセタンジオンを生成します。これが分解する際、共存する蛍光物質にエネルギーを与え、蛍光物質が励起されます。励起されたこの蛍光物質が基底状態に戻る際に光を放出します。従って、共存させる蛍光物質を選択することで発光波長を変えることができます。この手法はHPLCの検出システムなどに応用されています。