アルキル化 (エステル化) [合成試薬]

　カルボン酸エステル類は有機合成において基本的な化合物群であり，医農薬原体，農薬，化粧品，香料や電子材料に至るまで各種化学製品およびそれらの合成中間体として幅広い用途を持っています。
　エステル化合物の合成として，酸触媒の存在下でカルボン酸とアルコールから合成する“Fisherエステル合成反応”が古くから知られています¹⁾。この反応は可逆反応であり，アルコールを過剰量用いる，生成する水を系外に除去することによりエステルを得ることが可能です。

　またメチルエステルを合成する手法として，系内で生成させたジアゾタンとカルボン酸との反応による手法が知られています。本反応は中性条件下で迅速にエステル化反応が進行します。なおジアゾメタンは爆発性および発ガン性が指摘されており，より爆発性の低いトリメチルシリルジアゾメタン-ヘキサン溶液 [T1146]がジアゾメタンの代替試薬として用いられています²⁾。