ホスト化合物は、特定の分子、原子、あるいはイオン(ゲスト)を識別し、分子内に取り込み複合体を形成します。この複合体の形成には、静電相互作用、疎水相互作用、水素結合などの多様な力が利用され、高い選択性を実現しています。そして、このホスト化合物の有する高いゲスト選択性を利用した分子センサー、人工酵素、分離システムなどの開発や、より高い選択性を有する新しいホスト化合物の合成が盛んに研究されています。
例えば、新海らはカリックスアレーンを用いるバックミンスターフラーレン(C60)の画期的な分離・精製法を開発しました。それによれば、粗フラーレンとtert-ブチルカリックス[8]アレーンをトルエン中で攪拌すると、C60のみがカリックスアレーンに取り込まれ、複合体を形成、沈殿します。この沈殿を濾取し、クロロホルム中で攪拌するとこの複合体が分解し、高純度のC60が沈殿物として得られます。この方法は、従来から行われているカラム精製法と比較し、大変効率の良いC60の精製法であると報告されています。第3のホスト化合物であるカリックスアレーンが第3の炭素同族体C60と出会い、新たな用途が広がった画期的な成功例といえます。
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