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糖鎖を丸ごと付加し,生成物を分解しない酵素 / グライコシンターゼ(Endo-M-N175Q)
G0365 グライコシンターゼ(Endo-M-N175Q)は,先に発売しているA1651 Endo-M 1)の活性中心付近を部位特異的に変異させ,糖転移活性は残したまま糖加水分解活性を抑制した,山本・梅川らによって開発された酵素です。糖供与体としてオキサゾリン誘導体を用いることで効率良く付加転移し,得られた糖転移生成物は分解されにくく,蓄積する特徴があります。これらの特徴は,糖鎖工学の有用なツールとして応用が期待されます。
梅川らはこの特長を生かし,精子抗原CD52のGlcNAc部分に高マンノース型糖鎖のオキサゾリン体または複合型糖鎖のオキサゾリン体を糖供与体として糖転移反応を行い,それぞれ84%,76%と高い転移率で糖転移生成物を得ることに成功しました2)。また,血圧降下作用をもつ2つの生理活性ペプチドPAMP12とSubstance Pを糖受容体とし,シアロ複合型糖鎖のオキサゾリン体を糖供与体とした糖転移反応においても,それぞれ95%,98%の高い転移率を示しています(図2)3)。2009年及び2010年の論文では,この糖-オキサゾリン体を用いた糖鎖合成法の優位性が紹介されています4-5)。
効率の良い糖転移反応の実現は,バイオシミラーなどの糖タンパク質合成への展開にも有効であり,新たな機能性糖複合体の創製が期待されます。
文献
- 1) K. Yamamoto, S. Kadowaki, J. Watanabe, H. Kumagai, BioChem. Biophys. Res. Commun. 1994, 203, 244-252.
- 2) M. Umekawa, C. Li, T. Higashiyama, W. Huang, H. Ashida, K. Yamamoto, L-X. Wang, J. Biol. Chem. 2010, 285, 511-521.
- 3) M. Umekawa, T. Higashiyama, T. Tanaka, M. Noguchi, A. Kobayashi, S. Shoda, W. Huang, L-X. Wang, H. Ashida, K. Yamamoto, Biochimica et Biophysica Acta 2010, 1800, 1203-1209.
- 4) P. Bojarova, V. Kren, Trends in Biotechnology 2009, 27, 199-209.
- 5) J. R. Rich, S. G. Withers, Nature Chemical Biology 2009, 5, 206-215.