ヨウ化ナトリウム触媒による実用的なリビングラジカル重合

後藤らは，ヨウ化ナトリウム (NaI) を触媒とするビニルモノマーの実用的なリビングラジカル重合を報告しています。本報告では，重合開始剤である2-ヨード-2-メチルプロピオニトリルに，NaI触媒とポリエーテル系溶媒 (18-クラウン6-エーテル，ジエチレングリコールジメチルエーテル (ジグリム)) を組み合わせることで，アルキルラジカル活性種が生成することを立証しています。この活性種を用いてビニルモノマーとの重合を行うと，分子量分布の狭い (Mw/Mn =1.2-1.4) ポリマーが温和な反応条件かつ高い転化率で得られます。さらに本重合法は幅広いモノマー種が利用できるため，さまざまな構造の高分子合成に応用することが可能です。