text.skipToContent text.skipToNavigation

Maximum quantity allowed is 999

注文本数を選んでください。

ケムステ記事ピックアップ — カフェイン caffeine

カフェインは、コーヒーチャなどの植物に含まれ、眠気を覚まし、集中力を高める作用を持つ成分。

ヒトでのカフェインの作用

 カフェインの標的タンパク質はアデノシン受容体です。細胞膜にあるアデノシン受容体にアデノシンが認識されると、本来は眠気を誘導する信号伝達が細胞の中で起きます[4]。しかし、アデノシン受容体にアデニシンが結合する代わりに、カフェインが結合すると、この過程が起きなくなります。そのため、コーヒー飲料やお茶類を飲むと眠気を覚ますことができます。実際に、カフェインを認識するアデノシン受容体をノックアウトしたマウスでは、カフェインの作用が現れません[7]。

 カフェインには集中力を高める作用もあります。インスタントコーヒーおよび同一メーカーのデカフェインスタントコーヒーを使い暗算作業能率を調べた二重盲検試験[1],[2],[3]によれば、暗算作業の継続にともなう集中力の低下はカフェイン含有飲料の飲用によって緩和され、この効果は少なくとも30分間は持続する、と判明しています。

ヒト以外でのカフェインの作用

 昆虫でもカフェインの標的タンパク質はアデノシン受容体です。ミツバチを養蜂する際、コーヒーの花が咲いていると、蜜のある花がどこに咲いているのか、ミツバチがよく記憶できるようになる、と判明しています[11]。

 わたしたちヒトが少量のカフェインを溶かした水を口に含むと苦く感じます。昆虫でもカフェインを感知することができます。ショウジョウバエではカフェインを味覚として感知するカフェイン受容体が見つかっています[9]。ヒトではカフェインを苦味として感知する同様のカフェイン受容体は見つかっておらず、苦味が生じる仕組みは不明です。ナメクジはカフェインが嫌いで、キャベツに少量のカフェインを水溶液にして噴きかけておくと、ナメクジはキャベツを食べなくなります[6]。

植物でのカフェインの生合成

 カフェイン生合成経路の鍵となるメチル化を触媒する酵素の遺伝子は、はじめチャで発見[5]され、次いでコーヒーでも確認されました。酵素タンパク質の立体構造も、結晶構造解析[10]によって明らかにされています。酵素遺伝子の判明は、カフェインの多い、あるいはカフェインの少ない、チャやコーヒーの育種に、応用が期待されます。

 カフェインは、DNAの原料であるアデニンやグアニンと同じプリン塩基のなかまです。同じくプリン塩基であるキサンチンにリボースがついたキサントシンと呼ばれる化合物がカフェインの原料になります。キサントシンがまず1カ所目でメチル化、リボースが外されて、2カ所目と3カ所目でもメチル化されて、カフェインになります。キサントシンは、主にアデノシン、一部がグアノシンから変換されて供給されるため、アデノシンをキサントシンに変換する過程を仲介する酵素の阻害剤を、チャやコーヒーに投与すると、カフェインの含有が低下します[7]。

参考文献

  1. “Study on the effects of caffeine by using instant coffee under double-blind method."
  2. “Study on the effects of caffeine by using instant coffee under double-blind method (II)."
  3. 千葉県立千葉中学校 学校生活の紹介 千葉大学附属病院による理科特別授業
  4. “Adenosine: A mediator of the sleep-inducing effects of prolonged wakefulness." Porkka-Heiskanen T et al. Science 1997
  5. “Plant biotechnology: Caffeine synthase gene from tea leaves." Misato Kato et al. Nature 2000
  6. “Pest Control: Caffeine as a repellent for slugs and snails." Hollingsworth RG et al. Nature 2002
  7. "Inhibition of caffeine biosynthesis in tea (Camellia sinensis) and coffee (Coffea arabica) plants by ribavirin." Keya CA et al. FEBS Lett. 2003
  8. “Adenosine A2A, but not A1, receptors mediate the arousal effect of caffeine." Huang ZL et al. Nature Neurosci. 2005  
  9. “A taste receptor required for the caffeine response in vivo." Moon SJ et al. Curr. Biol. 2006   
  10. “The structure of two N-methyltransferases from the caffeine biosynthetic pathway." McCarthy AA et al. Plant. Physiol. 2007  
  11. “Caffeine in floral nectar enhances a pollinator’s memory of reward." Wright GA et al. Science 2013

Chem-Stationについて

本記事は,webに混在する化学情報をまとめ,それを整理・提供する化学ポータルサイト”Chem-Station”のご協力のもとに提供しています。
セッション情報
セッションの残り時間は10分です。このまま放置するとセッションが切れてホーム(トップページ)に戻ります。同じページから作業を再開するために、ボタンをクリックしてください。分です。このまま放置するとセッションが切れてホーム(トップページ)に戻ります。同じページから作業を再開するために、ボタンをクリックしてください。

セッションの有効時間が過ぎたためホーム(トップページ)に戻ります。

現在ログイン中です。国/地域を切り替えると、自動的にログアウトされます。続行しますか?