近年,ラジカル反応を有機合成に応用する研究が盛んに行なわれています。従来,ラジカル反応剤としてはトリブチルスタンナンが使用され,多くの応用例が報告されています1)。しかしながら,この反応において毒性の高い有機スズ化合物を目的物から完全に除くことが困難であり,医薬品,化粧品等の合成には向かないことが知られています。
1999年,東郷らは本品1のラジカル還元剤としての有用性を報告しています2)。それによると,反応開始剤としてAIBNまたはトリエチルボランの存在下,本品1はアルキルハライドを還元し,対応するアルカンを高収率で与えます。この反応はアルコール由来のキサンテート類にも適用でき,糖やヌクレオシド類の化学修飾への応用が期待されます3)。また,オレフィンへのアルキル基の還元的付加反応,環化反応や,ヘテロ芳香族化合物のアルキル化反応にも応用されています。
環境問題が注目されている昨今,本品1は,毒性の強い有機スズ化合物に代わるラジカル還元剤として,医薬品,化粧品等の分野のみならず,多方面での利用が期待されています。また,エタノール,酢酸エチルなどを溶媒として利用できる点や,空気中で安定であるという特長も持ち合わせています。
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ラジカル連鎖反応 / Radical Chain Reaction
No.108(2000/10発行)

文献
- 1)Review
- 2)Tetraaryldisilanes as a novel strategic radical reagent
- 3)Deoxygenative functionalization of hydroxy groupsviaxanthates
- 4)Radicalreduction of alkylphenylchalcogenides
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