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糖鎖を丸ごと付加し生成物を分解しない酵素 / An Enzyme that Adds Whole Sugar Chains without Breaking down Products “Endo-M-N175Q”
No.151(2011/10発行)

グライコシンターゼ(Endo-M-N175Q: 1)は山本・梅川らによって開発され,弊社で先に販売しているEndo-M1)の活性中心付近を部位特異的に変異させた酵素です。この酵素は糖供与体としてオキサゾリン体を用いることによって糖鎖を効率よく付加転移させる一方で,糖加水分解活性が抑制されている特長を持っています。このため糖転移生成物は酵素によって分解されにくいため高収率で得ることができます。この特長によって本酵素は糖鎖工学の有用なツールとして応用が期待されています。
梅川らは精子抗原CD52のGlcNAc部分に高マンノース型糖鎖のオキサゾリン体または複合型糖鎖のオキサゾリン体を糖供与体として糖転移反応を行い,それぞれ84%,76%と高い転移率で糖転移生成物を得ることに成功しました2)。また,血圧降下作用を持つ2つの生理活性ペプチドPAMP12とSubstance Pを受容体とし,シアロ複合糖鎖のオキサゾリン体を糖供与体とした糖転移反応においてもそれぞれ95%,98%の高い転移率を示しています(図2)3)。2009年の論文ではこの糖-オキサゾリン体を用いた糖鎖合成反応の優位性が報告されています4,5)。
効率の良い糖転移反応の実用化はバイオシミラーなどの糖タンパク質合成への展開にも有効であり,新しい機能性糖鎖複合体の創製が期待されます。

図2. Experiment example of the transglycosylation
文献
- 1)K. Yamamoto, S. Kadowaki, J. Watanabe, H. Kumagai, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1994, 203, 244.
- 2)M. Umekawa, C. Li, T. Higashiyama, W. Huang, H. Ashida, K. Yamamoto, L-X. Wang, J. Biol. Chem. 2010, 285, 511.
- 3)M. Umekawa, T. Higashiyama, T. Tanaka, M. Noguchi, A. Kobayashi, S. Shoda, W. Huang, L.-X. Wang, H. Ashida, K. Yamamoto, Biochim. Biophys. Acta 2010, 1800, 1203.
- 4)P. Bojarova, V. Kren, Trends Biotechnol. 2009, 27, 199.
- 5)J. R. Rich, S. G. Withers, Nature Chem. Biol. 2009, 5, 206.
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