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触媒前駆体として有用で空気中で安定なNi(0)錯体 Ni(COD)(DQ)
No.193(2023/08発行)
(1,5-シクロオクタジエン)(デュロキノン)ニッケル(0) (Ni(COD)(DQ), 1)は空気に安定なニッケル(0)錯体で、触媒前駆体として様々な反応に有用であることがEngleらによって見出されました1)。例えば鈴木-宮浦クロスカップリングやBuchwald–Hartwigアミノ化において、1は空気や熱に不安定なNi(0)錯体のビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル (Ni(COD)2)や他の2価Ni錯体を使用した場合と同等の結果を与えました。その後、1を触媒として用いたC-NクロスカップリングによるN,N-ジアリールスルホンアミドの合成2)や、1と光レドックス触媒を用いたカルボン酸の脱酸素的アルケニル化による全炭素四置換アルケンの合成3)も報告されています。そのため、安定性の高い1を用いた反応のさらなる開拓と応用が期待されます。
文献
- 1) Ni(COD)(DQ): An Air-Stable 18-Electron Nickel(0)–Olefin Precatalyst
- 2) Ni(cod)(duroquinone)-Catalyzed C–N Cross-Coupling for the Synthesis of N,N-Diarylsulfonamides
- 3) Highly selective synthesis of all-carbon tetrasubstituted alkenes by deoxygenative alkenylation of carboxylic acids
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