糖鎖は,生命第3の鎖としてその生物機能が重要視され,ポストゲノム研究の一端を担う領域として注目されています。東京化成工業では,ポストゲノム時代の糖鎖研究に有用な抗糖鎖抗体でお客様の研究をサポート致します。
多くの糖鎖は,脂質やタンパク質などに結合し,糖脂質あるいは糖タンパク質(N型,O型,プロテオグリカンなど)として存在しています。糖鎖は,脳,神経,癌細胞,血管内皮細胞などに存在することが知られており,iPS/ES細胞,癌,アルツハイマー,ギランバレー症候群,ファブリー病やガングリオシドーシスなどのリソソーム病などの疾患,発生,分化などで重要な役割を担うと考えられ,その重要性が注目されています。また、冬になると毎年のように流行するインフルエンザウィルスは細胞表面の糖鎖を介して感染します。現在使用されている抗インフルエンザ薬の多くはシアル酸を加水分解する酵素であるノイラミニダーゼの活性阻害を狙って開発されたため、シアル酸の構造を基にデザインされています。このように糖鎖はウィルスの感染やその治療にも深い関わりがあります。
抗糖鎖抗体
抗体は,免疫系を構成するタンパク質で,対応する抗原と鍵と鍵穴の関係のように高い特異性で結合します。抗体は,その高い特異性から生命科学の研究や診断薬の検出系として活用されています。
抗糖鎖抗体は,糖脂質,糖タンパク質などの糖鎖を特異的に認識できる抗体です。東京化成工業では,抗糖鎖抗体の中でもガングリオ系,グロボ系,ラクト系,ネオラクト系などの糖脂質に関連する抗体を中心に品揃えしています。東京化成工業の抗糖鎖抗体は,細胞,組織,生体試料での糖鎖(抗原)の局在,疾患や発生,分化過程での糖鎖の変化などを調べるツールとして有用で,組織染色,細胞染色,細胞接着阻害研究,フローサイトメトリー,ELISA,TLC免疫染色などの幅広い用途でご使用いただけます。
また、東京化成工業では標識抗糖鎖抗体も発売しております。
レクチン, 標識化レクチン
レクチンとは,赤血球上の糖鎖を特異的に認識して凝集(架橋形成)作用を呈する物質で,抗体や酵素を除く糖結合タンパク質です。現在では,広義に多価を示さず架橋形成しない酵素の糖結合ドメインや糖結合タンパク質も含める傾向があります。
レクチンは古くから複合糖質の検出や解析に応用されており,糖鎖科学分野の研究で活躍するツールの一つです。遺伝子組換え技術により得られるリコンビナントレクチンは,天然抽出レクチンと比べて品質が安定しています。赤血球凝集素(ヘマグルチニン)として知られるレクチンを化学的に修飾した,糖タンパク質や糖脂質の捕集・検出などに利用できるレクチンアガロースやビオチン化レクチンを取り揃えています。