今号のTCIニュースでは、以下の新製品情報やその他、お役立ち情報をご紹介します。
- ペプチド核酸(PNA)モノマー
- 芳香族分子の求電子的ハロゲン化を温和な条件で進行させる有機触媒
- ピリジンスルフィン酸を基質としたクロスカップリング反応
- ボリン酸エステル触媒を用いた糖の位置選択的Koenigs-Knorr型グリコシル化反応
- 有機塩基を用いた処理法の改善

ペプチド核酸(PNA)モノマー
Fmoc-PNA-A(Bhoc)-OH [D5931]、Fmoc-PNA-C(Bhoc)-OH [D5932]、Fmoc-PNA-G(Bhoc)-OH [D5933]、Fmoc-PNA-T-OH [D5934] などのペプチド核酸(PNA)モノマーは、DNAモノマーの有用な合成アナログです。得られるPNAは、糖-リン酸骨格を N-(2-アミノエチル)グリシンに置き換えたもので、標的DNAとのハイブリダイゼーション複合体の安定性の向上、高い代謝安定性、容易に蛍光プローブ標識やスペーサー(リンカー)挿入などの化学修飾が可能、などの特徴を持ちます。
芳香族分子の求電子的ハロゲン化を温和な条件で進行させる有機触媒
トリプチセン骨格を持つルイス塩基触媒 Trip-SMe [D6031] は、N-ハロスクシンイミドと助触媒(AgSbF6、AgBF4、TfOH、In(OTf)3など)を用いて芳香族分子のハロゲン化反応を効率よく触媒します。このハロゲン化反応は温和な条件下(室温、中性)で位置選択的に進行します。また、Trip-SMeは芳香族分子のトリフルオロメチルチオ化も触媒することが可能です。
TCI反応実例:ピリジンスルフィン酸を基質としたクロスカップリング反応
ピリジン-2-ボロン酸とハロゲン化アリールの鈴木・宮浦クロスカップリングは、ピリジン-2-ボロン酸が不安定であるため進行しません。そこで、酢酸パラジウム(II)を触媒として、4-ブロモトルエンと不安定なピリジン-2-ボロン酸の代わりに ピリジン-2-スルフィン酸ナトリウム [O0533]を用いたクロスカップリング反応をご紹介します。
TCI反応実例:ボリン酸エステル触媒を用いた糖の位置選択的Koenigs-Knorr型グリコシル化反応
ジフェニルボリン酸2-アミノエチル [D0281]を触媒として用いた2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミドとメチルα-L-フコピラノシドの位置選択的Koenigs-Knorr型グリコシル化反応をご紹介します。反応レポートは、TCIの合成スタッフが行ったものです。実施手順だけでなく、反応実施者のコメントや分析データもご覧いただけます。
有機塩基を用いた処理法の改善
Wittig反応等に用いられるリンイリドは、ホスホニウム塩をn-BuLiで処理することで得られます。TCIは、この処理でn-BuLiに代わりDBUを代替塩基として使用しました。これによりn-BuLiの使用を回避しただけでなく、精製操作を煩雑にしていた無機塩が無くなることで工程が簡略化され、スケールアップに適した製法に改善されました。現在検討している工程にお悩みでしたら、TCIが皆様と一緒になって最適な工程を検討します。TCIへの相談を、是非ご検討ください。
ケムステ記事ピックアップ
今号のケムステ記事ピックアップでは、「比色法の化学(前編)」を紹介します。
第3回TCIオンラインセミナー「動物透明化試薬ウェビナー CUBICの基礎と実例」
動物透明化技術の一つである CUBIC を実際に用いながら、基礎・原理・実例を交えてご説明し、皆さまの疑問にお答えします。日時:7月28日(木)14:00~
形式:オンライン、Youtube Live
内容:
- 動物透明化試薬の歴史や原理のご説明
- 動物透明化試薬 CUBIC の製品のご紹介
- 実際のマウス脳を用いた透明化テクニック
- Q&A